CASE STUDY
運用効率化と組織横断的なデータ活用環境を同時に実現した基盤移行事例
ブルーモ証券株式会社様
ブルーモ証券様では、サービスの急速な成長に伴いデータ処理量が増加し、既存のデータ基盤に複数の課題が顕在化していました。
データ処理の管理が複雑化
◦依存関係の考慮が難しく、ひとつの変更が他の処理に与える影響を把握することが困難になっていた
個人情報管理と活用・運用のしやすさの両立の難しさ
◦厳格な個人情報管理水準を維持しながら、一方でデータ活用や運用の効率化を図る必要があった
データマートの品質とカタログ整備の不足
◦データマートの品質維持とカタログ整備が不十分で、安定性や検索効率に課題があった
これらの課題を解決するため、Hakkyにデータ基盤の全面的な見直しについてご相談をいただきました。
ポイント① | ポイント② | ポイント③ |
|---|---|---|
個人情報を自動でマスキングし、即時での匿名化を実現。安全にデータを活用できる環境を構築したうえで権限管理を簡素化し、金融業界基準のセキュリティを維持しながら管理工数を大幅に削減した。 | Hakkyのナレッジと生成AI(Cline)を活用し、処理ロジックやインフラの開発を効率化。作業時間を短縮し、品質を保ったまま短期間で移行を完了。 | パートナー向けに自社データのみ閲覧可能なアクセス制御を導入。社内では権限管理を簡素化し、利用のハードルを低減。組織全体でデータに基づく意思決定が可能な環境を整えた。 |
ブルーモ証券様は、「投資をみんなのものに」をミッションに、米国株・ETFに特化した資産運用アプリ「Bloomo」を提供しています。日々の取引データや顧客行動データを安全かつ効率的に処理する「データ基盤」は、サービス運営と経営判断の両面を支える中核的な存在です。
しかし、急速なサービス成長に伴いデータ活用が進んで行った結果、次のような課題が顕在化しました。
データ処理の依存関係が複雑化し、変更や不具合の対応に時間を要する
厳格な個人情報の管理を維持しつつ、活用・運用の両面を維持することが困難
パートナー企業とのデータ連携における安全性と使いやすさの確保
こうした背景から、ブルーモ証券様はデータ基盤の全面移行と外部連携環境の刷新に着手。プロジェクトは以下の3つの柱で、約半年間で進められました。
dataformへの移行による安定稼働と運用効率化
包括的な運用体制の構築
パートナー向けダッシュボードの開発

また、本プロジェクトでは、各Phaseの要件に応じて複数のメンバーがそれぞれの専門となる領域において、役割を担う形で対応いたしました。インフラ、データエンジニア、アナリティクスエンジニア、データアナリスト、プロジェクトマネージャーが関わる形で、プロジェクトの進行段階に合わせて対応し、各局面で適切に対応しました。
こういったデータ基盤のプロジェクトでは、予算の関係や人材の確保などの観点から複数の専門領域を少数のメンバーで抱える必要があるのが実情です。しかし、Hakkyではそれぞれの専門領域を担う人材を柔軟にアサインすることができる体制を構築しており、本移行プロジェクトも大きな問題なく進行することができました。
移行前は、BigQueryのスケジュールクエリでCloud SQLのデータを処理していましたが、クエリ数の増加に伴い依存関係が複雑化し、変更時の影響範囲が把握しにくい状況になっていました。エラー発生時も原因の特定に時間を要し、クエリはGoogle Cloud上にのみ存在するため履歴管理やレビューが難しいという課題がありました。

この課題に対して、本格的にETL/ELTツールを導入し、依存関係の把握などの対応をする必要がありました。dbtなど他のツールと比較検討した結果、ブルーモ証券様では、元々プロダクト自体も含めすべてGoogle Cloud Platformで完結しており、中長期的にはメタデータ管理なども行っていきたいご意向があったため、既存環境との親和性・コスト・利便性などの理由からdataformに移植する決定を行いました。
dataformを中心に技術選定を行ったのち、既存クエリはCline(生成AI)を活用してdataformコードへ変換し、またデータ処理にレイヤーを設け、Integration(データ取得)、Transform(加工・集計・マスキング)、Dashboard(社内・パートナー向け)に再設計。Terraformのコードも併せて作成し、新しいプロジェクト構成に沿った権限付与やリソース監視設定を整備しました。
この移行を行ったことによって処理の依存関係が可視化され、エラーが発生した際の影響範囲の特定が迅速にできるようになりました。また、コードをGitHubで一元管理することで、レビューや履歴確認がしやすくなり、品質も維持しやすくなりました。加えて、個人情報の自動マスキング機能を実装することで、業界基準のセキュリティを維持しながら分析担当者の利便性も確保しました。
移行と並行して、安定稼働を支える運用体制を整備しました。Google Cloud のアラートとモニタリングを設定し、異常を検知するとSlackに通知される仕組みを構築しました。通知後は、一次調査から復旧までをあらかじめ決めた手順に沿って対応できるようにし、運用マニュアルとして標準化しています。
さらに、主要な処理やコストの状況を定期的にモニタリングし、異常の未然防止にも取り組んでいます。
ブルーモ証券様では、パートナー企業に対してプロダクトの利用に関する情報を連携する取り組みを行っており、アクセス権限を厳密に制御する必要がありました。一方で、パートナー向けにデータを連携するためにパートナーの数だけテーブルを作成するなどは運用上現実的ではありませんでした。そこで、RLS(行レベルセキュリティ)を導入し、各社が自社データのみを閲覧できる専用環境を構築し、外部連携時の安全性を担保しました。
参考:BigQueryにおける行レベルセキュリティ(RLS)の概要とTerraformでの実装手順
社内向けのダッシュボードは、従来のRedashからLooker Studio Proへ移行。自然言語検索やAI対話型分析、PPT形式でのレポート出力などの機能を提供し、非技術者でも直感的に分析できる環境を整えました。ライセンス設計を見直し、編集権限者のみを課金対象とすることで、社内メンバーへの展開をコスト効率良く実現しています。
参考:Looker Studio Proとは?有料版の特徴・料金・AI支援機能まとめ
また、dataform移行やTerraformコード更新の一部には生成AI(Cline)を活用し、作業時間を短縮しました。自動生成コードはそのままでは要件に合わない場合もありましたが、検証工程を組み込み、精度の高いコードへ修正。これにより、人的リソースを大幅に節約しつつ品質を確保しています。
構築したデータ基盤により、データ活用のための堅固な土台が整いました。今後は定期モニタリングと運用フローの継続的な改善により、安定稼働を維持するとともに、外部連携ダッシュボードの運用を高度化。これにより、パートナー企業の増加にも効率的に対応できる体制を確立します。
ブルーモ証券様では、この基盤を活用して高度な顧客行動分析や投資パフォーマンス分析を推進し、より精緻でスピーディなデータドリブン経営を実現していく予定です。
今回のプロジェクトでは、高いセキュリティ基準を維持しながら、業務効率化と利便性向上を両立したデータ基盤への刷新を実現しました。短期間での移行を実現できた背景には、既存アセットと生成AI(Cline)の戦略的な活用、そして段階的なアプローチでリスクを抑えた計画的な進行があります。
また、データ基盤だけでなく、外部連携ダッシュボードや運用フローまでを含めた一貫した改善を行うことで、現場の使いやすさと将来の拡張性を両立。これにより、ブルーモ証券様が今後さらに高度なデータ活用を進められるための土台を整えることができました。
Hakkyでは、こうした包括的なデータ基盤の構築を通じて、お客様のプロダクト事業成長に必要なデータ活用を引き続き支援してまいります。データ基盤の課題でお悩みの企業様は、ぜひご相談ください。

ブルーモ証券は、「投資をみんなのものに」を掲げ、スマホから米国株・海外ETFに投資ができる資産運用アプリ「Bloomo」を提供しています。米国株・海外ETFに200円から投資でき、ポートフォリオ投資・自動リバランス機能、毎日積立などを備えた最先端アプリで、手間なく長期の資産形成を可能にしています。累計28.5億円の資金調達を実施し、急成長を続けるフィンテック企業です。

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