CASE STUDY
一人ひとりの状況に合わせたパーソナライズドAIの構築
株式会社法研 デジタル事業部様
現在運用中の健康習慣定着支援サービス「マイヘルスアップキャンペーン」において、さらなるサービスの価値向上とユーザーの確実な健康習慣定着に向けて、以下のような課題や導入における論点を抱えられていました。
中長期的な利用継続率への課題
多くのユーザーが参加初期は活動的であるものの、さらなる継続率の向上を目指していた。
AIコーチング機能の導入検討
既存の機能に加え、ユーザー個々の属性と日々の行動データに基づき、最適化されたフィードバックを提供する「AIコーチング」の導入検討を開始した。
確かなナレッジの活用とハルシネーション対策
法研様が保有する信頼性の高い学習データをシステムに組み込み、生成AI特有の誤案内を防ぎながら、確かな裏付けのあるアドバイスを提供する仕組みが求められていた。
複数社を比較検討したうえで、AI開発に関する豊富な知識と実績をご評価いただき、HakkyとともにAI開発を推進することを決定しました。
独自コンテンツを活用した信頼性の高いAIコーチング | 個人の記録と評価を学習するパーソナライズ体験の設計 | 柔軟な運用と安全性を両立するシステム基盤 |
|---|---|---|
法研様独自の豊富な専門知識をAIの参照データとして組み込み、一般的な生成AI特有の誤案内を防止。確かなヘルスケアナレッジに基づく裏付けのあるアドバイス生成を可能とし、高い信頼性を実現。 | ユーザーの行動実績や属性情報を解析し、個別最適化されたアドバイスを生成する仕組みを開発。さらに過去の回答に対する評価フィードバックをAIが読み取り、次回生成時の内容やトーンの自律的な改善・反映を達成。 | エンジニアの手を借りず、運用担当者が管理画面からナレッジ更新やAIの微調整を自律的に行える環境を構築。不適切入力のリスク判定も実装し、高い安全性を担保しながら伴走を継続できる堅牢なシステム基盤。 |
最終的にHakkyを開発パートナーとしてお選びいただいた背景には、大きく2つの理由があります。
1つ目は、過去の取引実績による「安心感」です。過去に法研様から別の案件をご依頼いただいた実績があり、弊社の対応や品質に対して大きな安心感を持っていただいていました。
2つ目は、適正な費用感と確かな「技術力」の両立です。 他社の提案では費用感が想定を上回る、あるいは提案内容が法研様のイメージと異なっていた一方、Hakkyは適正な費用感に加え、AI開発に関する豊富な知見と実績、そして高い技術力を兼ね備えている点を高くご評価いただきました。

マイヘルスアップキャンペーンとは、「自分で選んだ目標にチャレンジ!」をテーマにした、AIコーチング機能を提供する健康習慣定着支援サービスです。
AIコーチが、ユーザーの基本属性や日々の活動記録といったパーソナルデータに基づき、一人ひとりに最適化されたヘルスケアの知識に詳しい法研様の知見に基づいたアドバイスを提供します。これにより、具体的なアドバイスを通じた「行動変容」の促進と、「自分を見てくれている」という体験によるエンゲージメントの向上を目指すコンセプトとなっています。
同機能では、ユーザーの日々の頑張りやその時々の気持ち(フリー記述)に寄り添いながら、以下のような温かみと説得力のあるメッセージが自動で生成されます。

マイヘルスアップキャンペーンでは、数万人規模の利用者を想定した安定的な自動アドバイス生成システムを構築しています。さらに、ユーザーからの反響に応じてAIが対話のトーンや提案内容を自律的かつ柔軟に調整し、安心・安全な体験を守りながら中長期的なモチベーション維持を支援する仕組みを備えています。
※本機能は、2027年4月のリリースを予定しています。
Hakkyでは、この「マイヘルスアップキャンペーン」のサービスを支える、生成AIを活用したAIコーチングロジックの開発を担いました。

今回のプロジェクトにおいて、Hakkyはサービスの中核となるAIモデルの要件定義から、AIコーチングロジックおよびワークフローの開発に特化して担当いたしました。
「ユーザー個人の状況に寄り添った最適な健康アドバイス」や「安心・安全な対話体験」といった、画一的な正解がないAIの振る舞いを定義していく必要があったため、まずはプロトタイプ環境で生成AIの検証を重ねていきました。
開発の初期段階から典型的なユーザーのテストケースを用いてプロジェクトメンバー間で評価を行い、回答のトーンや提案の精度に対するフィードバックを重ねてロジックを改善しながら、最終的な本番環境への適用を目指しました。
本プロジェクトの最大の特徴として、法研様が長年培ってこられた信頼性の高い専門的なドキュメント群を独自のナレッジベースとして扱っています。
一般的な生成AIの知識に依存するのではなく、法研様の確かな知見をAIに参照させる仕組みを構築したことで、ヘルスケアの知識に詳しい法研様の知見に基づいた質の高いパーソナルアドバイスの自動生成を可能にしています。
各フェーズのタスクに応じて必要な専門人材をアサインし、定例ミーティングを実施しながらプロジェクトを推進しました。
PM:1名
AIエンジニア:1名
ユーザー個々の行動データに基づいた個別最適なアドバイスを自動生成する場合、対象ユーザーが数万人規模にのぼると、システムの運用コストをいかにコントロールするかが大きな課題となります。
しかし、コストのみを優先してAIの処理能力を抑えてしまえば、本機能の肝である「ユーザーの定性的な感情の機微に寄り添う精度」や「厳格な出力制御」が損なわれてしまいます。
このトレードオフを解消するため、Hakkyでは初期の検証段階から運用のシミュレーションを重ね、複雑な指示への遵守能力に優れ、かつ高い処理効率を持つ最適な最新の生成AIモデルを選定しました。
さらに、将来的なコスト要件の変化やテクノロジーの進化に合わせ、コアとなるAIロジックを柔軟に切り替え・拡張できるシステムアーキテクチャを構築したことで、中長期的な安定運用を見据えたコスト最適化と、質の高いパーソナライズ体験の両立を実現しています。
プロジェクトの初期段階では、ヘルスケア領域における制約やリスクを考慮しつつ、ユーザーに寄り添う体験をいかに実現するかという点について、以下の4つのSTEPに沿って検証を進めていきました。

要件ヒアリング
業界特有の制約条件をクリアしながら、ユーザーのモチベーションを高めるための課題を洗い出し、すり合わせを実施。
体験設計の議論
ユーザーの入力内容を踏まえ、日々の生活の中で「AIがしっかり伴走してくれている」と実感できる理想的なユーザー体験を具体化。
技術的実現可能性の検証
ユーザーが発信する定性的な情報のニュアンスや感情の機微をAIが正しく汲み取れるよう、文脈理解のアプローチと言語モデルの応答検証を推進。
方針確定
センシティブな健康領域において高い安全性を担保するための仕組みを含め、本実装に向けたAIの振る舞いと開発方針を決定。
直面した課題、日々の行動記録やフリーワードに含まれる「やる気の低下」などの感情の機微といった定性的なニュアンスをAIに正確に読み取らせる必要がありました。
そのため、独自のプロンプト調整や文脈理解のアプローチを用い、過去の対話履歴やフィードバックを柔軟に反映できる最適なモデル構築を行いました。
また、法研様の書籍等のナレッジをAIが効率よく検索できるよう、データの構造化と検索ロジックの最適化を実施しました。
一方で、医療行為に抵触する表現の制限や不適切な入力に対しては、リスクを検知した際に該当テキストを除外しつつも、安全な実績データのみでコーチングを止めずに継続する、柔軟かつ安全な仕組みを構築しました。
本プロジェクトでは、システムを構築して終わりにするのではなく、リリース後に法研様が「内製での自律運用」へスムーズに移行できるよう、システム面・運用体制面の両面から以下のプロセスに沿って引継ぎを推進しました。

要件定義から実装までをHakkyがトータルで担当し、開発完了後は自律運用に不可欠なシステムの設定データや手順書などの「開発資産」を確実に引継ぎ・納品しました。
【体制面】運用体制の構築 ➔ レクチャーの実施
リリース後を見据えた準備として、ノンエンジニアの管理担当者様でも迷わず運用を回せるよう、実際の操作やメンテナンスに関するレクチャーを実施しました。
これら「システム」と「体制」の引継ぎ・準備を同時に完了させることで、外部エンジニアに依存しない、法研様側でのスムーズな内製移行と自律運用の定着をサポートしています。
本プロジェクトを通じて、法研様からは以下のような嬉しいご評価をいただいております。
AIの専門知識がない担当者に対しても、一緒に伴走しながら分かりやすく開発を進めていただき感謝しています。
フットワークが軽く、迅速かつ柔軟に対応してもらえて心強かったです。
詳細なドキュメントをしっかりと用意してくれたおかげで、自社で資料を作成する手間が省け、非常に助かりました。
一般的な開発会社であれば「スコープ外」と断られてしまうような無理な相談にも柔軟に対応いただき、とても仕事がやりやすかったです。
最終的にHakkyを選んで本当に良かったと感じており、今後自社で展開する他のサービスや案件でも、引き続きHakkyに相談したいと考えています。
本機能の継続的な運用を通じてナレッジが蓄積された段階で、過去にユーザーから高評価を得た理想的な回答事例をシステムに組み込み、アドバイスの精度とトーンをさらに向上させていくことが想定されています。
中長期的な目標は、コーチングの目的である「行動変容と継続」を促進するため、AIのアドバイスを受けたユーザーの長期的な利用継続率の向上を重要な指標として目指します。
健康という領域において、AIの「安全性・正確性」と、ユーザーに寄り添う「共感性」をいかに高いレベルで両立させるかという、非常にやりがいのあるプロジェクトでした。
法研様が保有する豊富な専門ナレッジと最新の生成AI技術を掛け合わせることで、実用的かつ温かみのあるコーチング機能が実現できたと考えております。
法研様が提供されるサービスを通じて、多くのユーザー様の健康習慣が無理なく定着していくことを心より願っております。今後もテクノロジーを用いた価値向上をご支援してまいります。

株式会社法研は、医療・健康・社会保障の専門情報を基盤に、「人々の健康と安心を支える」総合情報サービス企業です。
医療・介護・年金などの制度をわかりやすく伝える書籍・雑誌を発行しつつ、企業や健康保険組合向けには健康相談、メンタルヘルス支援、ストレスチェック、特定保健指導など多面的なヘルスケアサービスを提供しています。
情報提供から実践支援まで一貫したサービスにより、利用者の健康増進と質の高い生活づくりをサポートし続けています。

デジタル事業部では、長年培ったホームページ制作やヘルスケアコンテンツ制作のノウハウをもとに、時代のニーズに合わせたデジタルソリューションを提供しています。
近年、多くのクライアントから寄せられる「ユーザーが参加できるWebキャンペーンを行いたい」という声に応え、現在は「ウォーキングキャンペーン」や「マイヘルスアップキャンペーン」などの健康増進イベント事業を展開。
企画からシステム構築、コンテンツ提供まで一貫してサポートする体制を整えています。
https://www.sociohealth.co.jp/

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